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2013年10月5日土曜日

雀喜さんの「帰り俥」

雀喜さんの「帰り俥」は初めて聴いた話である。これは単純な噺だが、実に面白い。饅頭屋の主人が俥に乗って、上町に、北浜に、梅田に、伏見に、丹波の園部に、舞鶴に、そしてロシアに行くという馬鹿馬鹿しい噺であった。オチはゴルバチョフ。俥屋は店じまいしょうと思っていた矢先に饅頭屋が乗ってくる。得意先から頼まれてた婚礼の祝いの鶴亀の饅頭を店の者が間違って葬礼の饅頭を渡したらしい。主人が交換しょうと思って得意先を訪ねて回る。ようやく伏見で捕まえるのだが、そこでとんでもない先に回ることになる。帰り俥がとんだところに行く羽目になるという噺。

雀三郎師匠のネタ。作者は落語作家の小佐田定雄氏。小佐田氏は枝雀師匠の作品を多く手がけ、信頼は絶大なものがあったようである。氏が最近書かれた「枝雀らくごの舞台裏」を読むとよくわかる。私自身は憧れの作家である。なかなかそういうストーリーが浮かばない。面白い話は好きだし、よく知っているが、進まない。古典からヒントを得て、創作に発展しているようだが書けない。私の夢は「創作落語」で賞金を得ること。

雀喜さんの中学生ブルース


田辺寄席の長月席で桂雀喜さんの「新・じっくりたっぷりの会」。自作の「中学生ブルース」と古典の「帰り俥」を聴いた。どちらかと言えば「帰り俥」が面白かった。「中学生」は自分の中学生時代の創作であった。吹田の山田中学?竹藪にエロ本が捨ててあった時代 時代背景が分る分る その時代にあった本当の話 中学の正門近くに怪しい男が立って本を売っていた。口上が面白い。裸が絡み合っているビデオとかセミヌードの写真とかどうやと中学生に言い寄ってくる。家に帰り深夜にその本を開けると「相撲の写真」であったり「セミ」図鑑であったり、騙されていたのだ。オチも兄貴も同じように騙されていたということで終わる。

雀喜さんは、橋下市長と同い年とか言っていた。真面目そうである。顔に出ている。桂米朝さんの弟子の桂枝雀さんの弟子の桂雀三郎の一番弟子。きっとヨーデル食べ放題も歌っていたのだろう。ヨーデルはヨーグルトか何か食べ物かと思っていたら裏声のこと。とんだ誤解だった。焼肉食べ放題をヨーデルで歌っているのだ。このあたりの解説をマクラで振ればいいのにと思う。真面目なのが吉と出るか凶と出るか?本人の個性を発揮して欲しい。