ページ

2016年1月28日木曜日

三代目が羽織を脱ぐときは・・・


三代目と言えば羽織を取るシーンが美しいと言われている 確かに羽織の端を持って引っ張ると羽織が一瞬に綺麗に取れるのである これは取った瞬間 後ろに手をやっている この所作を見たさに駆けつけるファンも多い 私もその一人 恰好いい 上方落語界では真似出来ないなあ
歌舞伎の世界でも早変わりというのがある これも見事 お正月の松竹座でもあった 落語の世界は早変わりはない 皆それぞれだ 特にざこば師匠はこんはよう脱ぐなら着てこんでもええのにと言って笑わす 
落語家が高座で羽織をぬぐのはこれから噺ですよという合図 三代目もそうした 羽織は落語の中にもよく出てくる たとえば初天神とか 他にもたくさんあるがどうもよそ行きの時に着ていくらしい また前座は羽織を着てはいけない 二つ目からは良いとか 上方は真打制度がないから関係ないかもしれないが やはり若手は来ていない そこそこになってから着れるのだろう それにしても三代目の紋はやけに大きい 今度落語会に行ったら羽織も紋もちゃんと見ておこう

春團治師匠の皿屋敷


三代目が亡くなった直後に「日本の話芸」で放送された「皿屋敷」 これも三代目の得意ネタである これは米朝師匠から稽古をつけてもらったとのこと 師匠の愛弟子の米二師匠からのメールマガジンにこう書いてあった 「うちの師匠から「代書屋」「親子茶屋」「皿屋敷」などが伝わっております」と 
米朝師匠が三代目に「ネタが少なくてどないすんねん」と叱ったことがあるとか そこで発奮して稽古してもらった 特に「代書屋」は三代目が演出して他にはないものになっているようだ 是非聴いてみたいと思う
三代目は滅多に「マクラ」を振らないが、持っているCDの「野崎参り」にはマクラが入っている どんなマクラかと言えば二代目 つまり父親の鼾の話である 鼾をレコードに吹き込んだ人は二代目だけだという思い出話をマクラにしていた
この「皿屋敷」は平成18年に放送されたもの お菊さんが井戸から出てくるところ うらめしや・・・・1枚・2枚・3枚と数える 青山鉄山という偉いお方はお菊さんに意地悪をした祟りで亡くなったのであるが そのお菊さんが幽霊となって井戸から出てくるのを見世物にしているのが何とも言えない落語ワールド 実査に姫路城にその井戸があるのをだいぶ前に見てきた 立派な井戸だった ちゃんとお菊の井戸と書いてあった 三代目は「いつ戻って失せさらしてん」とか口汚く関西弁を駆使しているのがまた面白いところだ そういえば姫路と言えば米朝師匠の故郷 ご当地の噺を教えたのも凄い話だ

2016年1月15日金曜日

三代目春團治師匠ご逝去


春團治師匠の訃報が届いた 1月9日にご逝去という 享年85歳 昨年の米朝師匠に続いて上方落語界は大きな宝を失った 合掌 あの春團治師匠のハスキーな声 羽織を脱ぐときの恰好良さ 最後に聴いたのは繁昌亭での十八番の「野崎参り」だった マクラは振らないが「日本の三詣り」のことをまず話す 京都は祇園さんの「おけら詣り」 四国は讃岐の金毘羅さんの「鞘(さや)橋の行き違い」 そしてこの「野崎参り」 この三詣りだけは、何ぼ口で喧嘩してもええねん と解説 まさか金比羅さんもそうなのかと少し知恵ができた 師匠はこのとき少し声が出にくかったのか聞きずらかったが皆声を澄まして聞いていた 喜ぃ公と清ぇやん、土手を歩いている人との会話が最高に面白かった 結構口汚く大阪弁でやっていたのが師匠らしかった まさに完成された申し分なしの落語であった お玉牛も聞いたことがあるがこれも十八番 師匠しか出せない味である師匠はこの天満天神繁昌亭の建設にも大いに貢献したと聞いている 名門の落語家の家に生まれ噺家として名声を得た陰には苦労もあったと思う これで四天王が誰もいなくなった
これからは後継者として期待している新四天王いや七人の侍は六代文枝、一門の文珍、米朝一門のざこば、南光、春團治一門の福團治、小春團治、笑福亭一門の三喬、林家一門の染丸、露の一門の新治さんの時代になるのか 高学歴の若手も続々出てきている 力を合わせてなんとか上方落語を盛り立てて欲しいと願う 数えたらたくさんいます 期待の若手も多い上方である