ページ

2012年6月28日木曜日

亀佐 笑福亭円笑

繁盛亭ライブで円笑師匠の「亀佐」を聞いた。円笑師匠は上方で唯一江戸落語を演じる方である。逆に桂小南師匠は江戸で数少ない上方落語を演じた(1996年没)。円笑師匠はこの噺は珍しい噺だと言っていた。確かに初めて聞く噺だ。米朝作らしい。なぜ演じないかと聞けば、米朝師匠曰く「おもろない」からと答えたようだ。亀佐は、亀屋佐兵衛のこと。今でも伊吹山の近くに店を構える「亀屋佐京」というもぐさの老舗の主人のこと。坊さんの説教の途中で大いびきをかいて寝てる御仁がいる。誰かと思えば、亀佐。もぐさを売り歩いて疲れたのか。こらこら寝ている奴があるか。体をゆすぶっても全然起きない。そこで、「(お灸を)すえたなはれ」と坊さんが言う。これがオチ。亀佐は、お灸をすえるという掛け声でもぐさを売っていたので、そのあてつけに言ったのがオチ。

もぐさは、漢字では百草。百草園というのが東京にある。江州の伊吹山は、薬草の宝庫らしい。信長が西洋の薬草をたくさん植えた。子どもの頃、よく言われたものである。悪さをすると「やいとをすえるぞ。」お灸をすえるとも言われた。今でもビジネスで「お灸をすえる」ということは使うことがある。あのもぐさを盛ってじわーと攻めてくるやいと。熱いのなんの、手がちぎれるのではないかと思う。落語には若旦那が幇間の一八相手に鍼をする「たいこ腹」というのがある。鍼はピクピクと心地良いが、やいとは嫌だ。だから、ストレスのないように暮らしたい。

2012年6月23日土曜日

志らく 雨ン中のらくだ

新潮文庫の志らくさんが書いた本「雨ン中のらくだ」を読ませてもらった。談志師匠との想い出が綴ってある。志らくさんは、まだお目にかかったことはない。どんな声でどんな容姿か知らない。が、相当な人物であることが分かった。志らくというのは、フランスの大統領の「シラク」から取ったとのこと。かなりの大物であることが分る。

談春さんとのことも書いてある。入門は談春さんの後だ。築地で修行するのが習わしであったので談春は築地で奉公した。しかし、志らくは行かなかった。そのあたりのいきさつを事細かに書いてある。やはり二人は意識している。それにしても談志師匠は凄い。あまり感じていなかったが、談志師匠は、桁外れの落語家のように思う。単なる毒舌家ではない。落語のことをよく考えている。現代で言えば、誰にあたるだろうか?上方でいえば桂米朝さんか、桂三枝さんか、改めて偉大さが分かった。

2012年6月3日日曜日

志の輔独演会に満足

5月26日(土)森ノ宮ピロティホールにて志の輔落語を鑑賞した。会場は1000人収容だが、ほぼ満員。年輩の方が多い。初めての志の輔さん。日本で一番チケットの取りにくい噺家とのこと。大阪での公演は4日連続。26日は3日目だった。2時半開演で、終わったのは5時前だった。

いきなり志の輔さんが出てくる。演目は中村仲蔵。落語の場合は、何を演じるのか分からないことが多いのだが、立川流は予め決まっていることが多い。それだけでは、4500円は高いので、他に何かをやらないといけないということで、創作落語を一席。「ハナコ」という黒毛和牛の噺を演じた。これは先日東京に出張したときに、飛行機の中で聞いたものだった。筋は分かっていたのだが、やはり面白かった。さて中村仲蔵は、歌舞伎の噺。一度聴いたことはあるが、志の輔さんは解説付きで丁寧に丁寧に語る。実に巧みだ。笑いのツボをよく知っている。間も最高。さすが第一人者である。ファンも多い理由が分る。満足した高座であった。