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2011年6月17日金曜日

鹿政談

米朝師匠から初めて聞いた噺。だいぶと昔のことだったように思う。奈良では町の早起きが名物とか。何しろ奈良の鹿は神さんである。その神さんが家の前で死んでいたえらいことになる。わざわざよその家まで鹿を持って行く。確かに奈良は鹿が街中に堂々と歩いている。学生時代に興福寺の境内で寝袋に入って野宿をしたことがあった。朝、ザワザワとしたあたりの様子で目が覚めた。鹿に囲まれていたのだ。怖かった。
奈良三条の豆腐屋与兵衛さん、正直者として知られていた。豆腐屋は朝が早い。暗いうちに「きらず」(おから)を桶に入れて表に出していた。大きな音がして犬がおからを食べている。割り木を投げつけると犬に当たり死んだ。これが犬ではなく鹿。鹿を殺せば死罪。代官に捕えられ、奉行所での取り調べ。お奉行さんは、豆腐屋に同情的。むしろ代官の悪行を責める。お奉行さん「その方、商売は豆腐屋であったな」「はい」「きらずにやるぞ」「まめで帰ります」がサゲ。2段サゲ?。おからは卯の花ということもあるが、関西では豆腐のように切らなくても良いから、きらずと言うことをこの噺で知った。米朝師匠はさすが人間国宝。86歳。

1 件のコメント:

  1. この噺,誰かで聞きました。
    教えていただいた「やまだりよこ」さんのメルマガ(情報満載ですね)で情報を得たのですが,6月22日,繁盛亭で,笑福亭松喬一門会があり,三喬さんがこの噺をやります。
    聞きに行きたいと真剣に思いますが・・・

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